Includes PR

ロンドン、パリ、ポーランドが一つの島に集結

ASIA

世界には不思議な地名や思わず笑ってしまう地名がありますが、ここで紹介するのはその例外ではありません。とある一つの島にロンドン、パリ、ポーランドと呼ばれる地名が集まっています。さらにはバナナという場所まであります。

これらの全ての場所が半径20km圏内に位置しているため、何らかの明確な意図があって名付けられたに違いありません。一見するとお粗末で他の国の地名をそのままパクったような島に一体に何が起きたのか見てみましょう。

太平洋の平穏な島

問題の島は、キリバスのKiritimatiと呼ばれる太平洋の一つの島です。ロンドンやパリのような大都会の地名から想像できるほど都会ではなく、低層の建物がごく一部に広がる平穏で海が綺麗な島です。

Kiritimatiの人口は2020年時点で7,380人しかいません。ちなみにUKのロンドンは約900万人、フランスのパリは約200万人、EUのポーランドは約4000万人です。

ロンドン

ロンドンはKiritimati島の最も賑やかな集落の一つです。1917年から1939年の間にUKから島を借りていたフランス人神父、EmmanuelがUKとこの島の繋がりを考慮して “Londres” と名付けました。その後1939年に島はUKに返還され、最終的に英語化した読み方 “London” になりました。

当時のイギリス人が何を考えているのか分かりませんが、自分の国の最大の都市と同じ名前を太平洋の小さな島にも与えようとするのは正気ではありません。いくらフランス人神父が与えた名前を尊重したとしても。面白いのは、ロンドンという地名が現地のみで呼ばれているのではなく、Google Mapsを通じて世界の目に晒されていることです。

パリ

パリは1920年代にココナッツ農園があったことで知られていますが、現在は放棄されて何もありません。美しいサンゴ礁と砂浜の他には文字通り何もありません。恐らくあまり住むには適さない土地なのでしょう。何も無い場所にも関わらず地名が残り続けています。

パリと名付けられた理由はまたもフランス人神父、Emmanuelの仕業です。彼はホームシックだったため、それだけの理由で名付けました。当時彼はパリでココナッツ農園を営みながらそこに住んでいました。パリでココナッツを?

ポーランド

ポーランドはポーランド人エンジニアのStanislawに敬意を表して命名されました。彼は乾季でもヤシの木に効率的に水をやることができる改良型灌漑システムを島に導入し、ココナッツプランテーションの機能を劇的に改善しました。ロンドンやパリのようなふざけた命名のきっかけとは異なり、ポーランドは島を訪れたポーランド人を称えるための地名なのです。

ポーランドはロンドンほど人口が多いわけではありませんが、集落には小さな教会とレストランがあります。その教会は “St. Stanislas Church” と呼ばれ、これも同様にポーランドの聖人が関連しています。ポーランドとパリが囲んでいるラグーンの名前も “St Stanislas Bay” であるため、当時の島民がどれほどポーランド人に感謝しているか理解できるでしょう。

バナナ

バナナはKiritimati島唯一の空港である “Cassidy International Airport” の近くに位置する地名です。地名がバナナだからといって、バナナ農園があるわけではないようです。

Kiritimati島の4つの謎の地名の中で、バナナだけは本当に謎のままです。バナナと呼ばれるようになったのは1962年にアメリカ軍人が島にいたときからです。私が唯一考えられるのはアメリカ軍人が仲間内で冗談まじりにバナナと呼んでいたら、いつの間にか地名として定着していたという理由です。

いずれにせよ今日まで残るバナナという地名はインターネット上でしばしばジョークの対象となり、ユニークな地名として注目を浴びています。いっそのこと空港の名前もバナナにすれば良いですね。

Kiritimati島やキリバスについてもっと知りたい場合は、以下の本を試してください。経験豊富なトラベラー、Meredith BiggsがKiritimati島を含むキリバスの4つの島々の文化から気候変動まであらゆることを取り上げたトラベルガイドになっています。

Kiribati Travel Guide 2023 and Beyond(Amazon)