「Karen」という名前は、英語圏の女性のファーストネームとしてはそれほど珍しくありません。元々は「Katherine」の短縮形として1940年代から広まった歴史のある名前です。
不思議なことに、近年のインターネットでは「Karen」という名前をよく見かけるようになりました。これは「Karen」という女の子が増えているという単純な理由によるものではありません。
インターネットで見かける「Karen」の文字の多くは悪い意味で使用されています。なぜそのような状況になってしまったのか、この記事で紹介しましょう。
「Karen」のステレオタイプ
まず、英語圏には「Karen」という名前から想像される人物のステレオタイプがあります。それが、中年で中流階級の白人女性です。要は「偉そうなおばさん」ということです。
インターネットではしばしば「偉そうなおばさん」が叩かれることがありますが、なぜそのイメージと「Karen」という名前が結びついたのでしょうか?
「Karen」ミームの起源
ミームの起源を正しく解析するのは困難なことで、どうして「Karen」という名前が選ばれたかは定かではありません。インターネットの誰かが言い出して広まっただけでしょうか。
とはいえ、いくつかの着想を得られる作品があります。参考までに。
- “The Friend Nobody Likes” – 友人の名前がKaren
- “Mean Girls” – 登場人物にKaren
- “Goodfellas” – 登場人物にKaren
一方でミームの流行時期は確かです。2019年の11月あたりからインターネット上で「Karen」のミームがZ世代を中心に広まりました。
Z世代がX世代を馬鹿にするとき、それまで「Ok, boomer」というスラングを用いるのが流行していましたが、それを置き換えるように「Ok, Karen」が浸透したのです。
ところが「boomer」は男女関係なくX世代に対して用いるのに対し、「Karen」は一般的に白人女性のみに対して用いられます。このことから「Karen」ミームには何らかの女性蔑視や人種差別が含まれている可能性があります。
X世代:1965 – 1984に生まれた人々
「Karen」ミームの例
オンラインで「Karen」と呼ばれる人々、通称Karen族の実態を紹介します。
中華レストラン
彼女はエビ料理とライスを注文しようとしたが、レジ係はその料理はもうメニューにないと言った。彼女はメニューが変更されていたことに納得がいかず、延々とレジ係と議論していた。私の後ろに並んでいた人は、みんな本当にイライラしていた。
犬のリード
白人女性が公園で犬を連れて散歩していたが、犬にはリードが繋がれていなかった。見かけた黒人男性が犬にリードをつけてもいいか尋ねたが、彼女は警察に通報した。その理由は「黒人男性が自分の命を脅かしている」という訳のわからないもの。
待ち時間
彼女は予約をせずに混んでいるレストランに入店し、いくつかの食事を注文した。そのときに店員から40分から45分ほどかかると言われた。注文してから30分経った頃、しびれを切らして近くの店員を怒鳴りつけた。その店員は謝罪したが、彼女は「謝罪はいりません。食べ物が欲しいのです!」とレストランにいる誰もが聞こえるような大声で言った。